㈲及川典郎洋菓子店 (銀のりぼん) 代表取締役 及川 士 氏
一つの相談をきっかけに事業全体を見つめ直す良い経験になりました。
及川 士 代表取締役(左)と鈴木 晴美 経営支援員(右)
人手不足の解決が売上拡大に
「懐かしいのに新しいお菓子」という創業者である父の思いを受け継ぎ、昔ながらのケーキ屋さんとして、いつでも喜ばれるおいしさを目指してお菓子づくりに励んでいます。商工会議所には、新型コロナウイルスの影響で、製造補助の仕事をお願いしていたパート従業員の方たちの出勤が難しくなり、先行きに不安を感じていた際に、顧問税理士の先生の勧めがあって相談をしました。
最初にサポートを受けたのは「小規模事業者持続化補助金」の申請書類の作成でした。今回の申請は、人手不足で製造がストップしないよう、弊社の主力商品である半生菓子のブッセの製造方法の一部を機械化することが目的でした。担当支援員の鈴木さんから「自分で作成することが良い経験になる」というアドバイスを受け、サポートしてもらいながら書類を作り込んでいき、「売り上げなどの数字に関することだけではなく、及川さんの仕事に対する思いを盛り込んだら、もっと内容が良くなる」などのアドバイスを参考にしながら、何度も書き直しをしてようやく完成しました。正直、大変な作業ではありましたが、現状を踏まえて自分の思いや今後の目標を落とし込むことで、初めて自社を客観的に見ることができ、この経験は私にとって非常に大きな収穫であったと思います。その後、無事に採択を受けることができ、ブッセの製造は、手作業の約3倍の早さでできるようになり、さらには、製造クオリティーの均一化も図ることもできました。
その後も、メールなどでのやりとりを通じて定期的に補助金等の支援施策情報を教えてもらっています。つい先日も、「宮城県再起支援事業補助金」を活用して、今年5月下旬の本店のリニューアルオープンに合わせてテークアウトスペースを新設しました。例年、売り上げが落ち込みがちな夏の時期に、自家製のシロップやジャムを使ったかき氷などを提供することで、安定した売上確保を図っていこうと計画中です。
事業活動とともに社会課題の解決にも取り組む
今後は、フードロス削減にも取り組んでいきたいと考えています。お店を運営していく中で、たまたま「子ども食堂」を運営している方と知り合うことができ、何か役立てることがあればと、活動に賛同していただける事業者と子ども食堂をつなぐお手伝いを、ボランティアで行っています。この活動を通じたフードロス削減でSDGsの推進に取り組んでいくとともに、当店を愛してくれる地域の皆さんに恩返しができるよう、商工会議所に登録する専門家のアドバイスもいただきながら、おいしいお菓子づくりを続けていきたいですね。
店内の様子。「八木山」や「松島」など、仙台・宮城の地名に由来するお菓子を多く取り扱っているのが特徴の一つ。
創 業 | 1974年7月 |
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事業内容 | 洋菓子の製造販売 |
所在地 | 仙台市太白区泉崎2-6-37 |
ホームページ | https://www.ginnoribon.com/ |