㈲ダイヤモンド歯研 代表取締役 山本 力 氏
漠然とした不安の相談をきっかけに、事業承継を考える機会を得ました。
山本 力 代表取締役(右)と齋藤 克哉 経営支援員(左)
不安を解消する多彩な提案
弊社は、歯科医院から注文を受け、義歯や入れ歯、インプラントなどの歯科技工物の製造を行っています。
今回、商工会議所に相談したのは、長引くコロナ禍への不安からでした。弊社は、創業から今まで、幸いにも経営が赤字になったことはありませんでしたが、コロナ禍以降、取引先である歯科医院の受診数などが減ったことで注文が減り、売り上げが徐々に減少してきていました。これまで商工会議所に相談するときは、例えば、「融資を受けたい」や「補助金を申請したい」など、目的が明確でしたが、今回のように、経営に関する漠然とした不安を相談するのは初めてのことです。それにもかかわらず、担当支援員の齋藤さんは、弊社の経営状況を改めて分析しながら、返済元金を抑えるための既存のマル経融資の借り換えをはじめとした支出を抑えるためのさまざまな方法を提案してくれました。こうしたアドバイスを参考に、不安解消の手段の一つとして、早速、マル経融資の借り換えをお願いしたところです。
将来を見据えることの意味
今回受けたアドバイスの中で、特に大きな「気づき」となったと感じたのは、「事業承継」に関することです。弊社は、今すぐに事業承継を行うわけではありませんが、これまで考えたことがなかったテーマを提示してくれたことで、事業を長く続けるなら「いつ頃、誰に承継するのか」「持ち株をどうするのか」といった、さまざまな課題があることに気づかされました。これを考えずに目の前の仕事をこなしていくのと、10年先を見据えながら仕事をしていくのとでは、後者の方が会社の将来のために何かしらの準備ができるので、何も準備していない会社と大きな差が生まれていくのではないかと思います。また、事業承継を考えるにあたって、中小企業診断士で税理士でもある専門家の先生からもアドバイスを受けることができ、多彩な分野の専門家ともつながりのある商工会議所の底力を知ることになりました。
現在、弊社は同じ歯科技工士である娘と二人三脚で事業を行っています。「将来、事業承継をどうするのか」ということも頭の片隅に置きながら、お客さまからの要望に、引き続きスピード感と高いクオリティーで応えていくための準備を、技術・設備の両面で行っていきたいと考えています。
デジタルとアナログ両方のメリットを取り入れる
昨今の世の中の流れである「デジタル化」は、歯科の分野でも進んでいます。例えば、専用のスキャナーで口腔内の状態の情報を得て、データ化して治療等に活用するシステムなどが現場で徐々に使われ始めてきています。私は、こうしたデジタル技術と、精巧な手作業によるアナログ技術の融合が、歯科技工業界で生き残っていくためのポイントになると考えています。今後は、セミナーや窓口専門家相談など、商工会議所のさまざまなサポートメニューを活用しながら、デジタルに関する知識を基礎から勉強して習得していくことで、時代の変化に対応していきたいと思います。
技工物製作時の様子。マイクロスコープを使用し、個人の歯型や、かみ癖に合わせた細かい微調整にも的確に対応している。
創 業 | 1988年8月 |
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事業内容 | 義歯や入れ歯などの歯科技工物の製作 |
所在地 | 仙台市若林区五橋3-6-30 |