東日本大震災10年の軌跡
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記憶と経験を次代に継ぐ第10章商工会議所による復興に向けた要望・提言■要望日2011年7月21日■要望者 東日本大震災沿岸部被災地区商工会議所連絡会■要望先 山口内閣府東日本大震災復興対策担当副大臣、末松東日本大震災復興対策本部宮城現地対策本部長、連絡会地区選出国会議員等去る3月11日に発生した「東日本大震災」は巨大な津波を伴い、沿岸部地域に甚大なる被害をもたらした。今日、震災から4カ月が経過し、内陸部においては回復の状況にあるものの、沿岸部はいまだ自立的な回復には至っていないのが現状である。こうした現状に鑑み、多大な被害を被った沿岸部の商工会議所等が、相互の情報交換等を通じて、今後の各地域の復興への取り組みや地域づくりの促進を図るとともに、災害からの復旧・復興に係る共通の問題・課題について検討し連携して要望活動等を行うことにより、その改善、解決を図っていくことを目的として、「東日本大震災沿岸部被災地区商工会議所連絡会」を設立した。今般、本連絡会の総意として、以下の復旧・復興への取り組みに対する支援を強く要望する。1.地域復興への支援について(1)「復興庁」の早期設置企画立案、執行などの機能を持たせ、国の行政を一元化した復興庁を早急に被災地に設置することが必要である。また、復興庁には、復興担当大臣を常駐させ、各自治体と連携を図りながら、復旧・復興に取り組んでいくことが不可欠である。(2)復興特区の活用被災地域の自治体が、地域の実情に応じた復興を主体的かつ戦略的に推進するため、特区を設け、税制面、雇用面での優遇措置を講じるとともに規制緩和を行い、地域再生の早期実現を図ることが必要である。(3)物流港湾機能の早期復旧に対する支援防波堤の破壊による湾内静穏度の変化や岸壁周辺の地盤沈下、液状化、荷揚げ関連設備等の被害により、コンテナ船の寄港ができないなどの状況が続いている港湾にあっては、静穏度調査の実施をはじめ、港湾施設の復旧を早急に行なうべきである。(4)水産業の基盤となる漁港機能の再建に関する支援水産業を主要産業としている地域にとって、漁船確保はもちろん、岸壁、市場、オイルタンク、背後地にある水産加工団地の復旧をはじめ、漁船整備や食料の仕込みなどを含めた漁港機能全体の再建が求められる。そのため民間企業の保有するプライベートバースも含め、国の財政負担でそれらの復旧に取り組むべきである。その際、復旧スケジュールを早期に明確化することが重要である。4.東日本大震災に伴う沿岸部被災地区支援に関する要望及び仙台空港の事情を御賢察の上、仙台空港の航空需要の拡大に向けた東北地方への国内外からの誘客促進、現在新たな路線開設の動きのある神戸=仙台線など新規路線を含めた国内定期便の早期再開及び海外への積極的な情報発信による国際定期便の就航促進につきまして格段の御支援を頂きますようお願い申し上げます。93

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