東日本大震災10年の軌跡
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鎌田会頭をトップとする復興に向けた組織体制の構築と意識の醸成1復興対策本部の設置と議員総会の開催東北各地の商工会議所では、津波被災地区は言うまでもなく、内陸部においても会館が損傷するなど、事業活動にさまざまな困難が生じた。その中で、東北六県商工会議所連合会では、震災直後に鎌田会長を本部長とする「東日本大震災復興対策本部」を早々に組織し、各県連、各地商工会議所にも設置された対策組織との連携を図りながら、広域的な体制を構築して、地元中小企業を支援するという使命を果たしてきた。未曽有の震災被害から、地域商工業者が1日も早く立ち直るためには、商工会議所の英知を結集して、復旧・復興への道筋をつけていくことが急務であった。そこで仙台商工会議所では、発災から11日後の2011年3月22日、議員140人中84人の出席の下、定例日通りに通常議員総会を開催した。商工会議所の最高意思決定機関である議員総会の場において、改めて商工会議所が地域の復興を牽引していく姿勢を示し、出席者とともにその意識を共有したのである。4月11日には東北六県商工会議所連合会の幹事会を、4月25日には宮城県商工会議所連合会の幹事会を、それぞれ仙台市で開催した。発災直後の混乱期にこうした会議を行うことは容易ではなかった。しかし、広域かつ甚大な被害に対して早期に有効な手段を講じるためには、関係者の緊密な連携体制をいち早く構築すること、そして一体的に事にあたることが重要であった。こうして商工会議所は、可能な範囲において実情に即した意見交換と積極的な情報収集を重ね、鎌田会頭(復興対策本部長)の陣頭指揮のもと、復旧・復興に向けて歩き始めたのである。仙台復興推進委員会の設置と震災復興会員総決起大会の開催2011年5月には、渡辺静吉副会頭(当時)を委員長とし、仙台商工会議所の全議員を委員とする「仙台復興推進委員会」を設置した。委員会では、この年度内に2度にわたり提言を取りまとめ、その実現を、国、宮城県、仙台市に要望した。委員会および3つの分科会では、「ただ行政に要望するだけでなく、自分たちも記憶と経験を次代に継ぐ第9章復興を牽引する商工会議所の組織・体制づくり発災直後であるものの議員総会を定例日通り開催し復興への意識を共有(2011年3月22日)。2011年5月16日の第1回復興推進委員会で復興に向けて商工会議所が果たすべき役割を述べる渡辺静吉副会頭(当時)。81

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