東日本大震災10年の軌跡
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から最初の機械が運ばれたのと時をほぼ同じくして、6月上旬、遠く九州から木工切断機が若林区の木工所に届けられた。8月には東京からもコンプレッサーなどの機械が宮城野区の事業所に提供された。愛知県内では名古屋の動きが広まりさらに多くの機械が集まっていた。こうして始まった被災事業所への機械提供の取り組みは、その枠を仙台から東北の沿岸被災地全体へと広げ、2011年9月、日本商工会議所、東北六県商工会議所連合会、仙台商工会議所の3者が主体となって行う正式なプロジェクトとして発足するに至った。機械のマッチングを進める上では、日本商工会議所がイントラネット上に機械の提供・要望の情報を登録するデータベースを整備し、それをネットワーク化することで、ニーズ等が把握されやすいスキームを構築した。設置を含めて繊細な作業が求められる機械の保管および輸送は、同じ東北にある岩手県の会社がその専門性を生かしてほぼ一手に担った。長距離におよぶ輸送費用は全国の商工会議所などから寄せられた義援金を活用することで、被災企業と支援企業、双方「無償」のマッチングを可能とした。提供可能な機械の登録は、初年度だけで3,000件を超えた。この、全国514商工会議所125万会員(当時)におよぶネットワークこそが、被災企業の多様なニーズに応え得る本プロジェクト最大のポイントであった。行政の理解と協力でできあがったさらに強固な基盤プロジェクトが軌道に乗っていった背景には、もう二つポイントがある。その一つは、機械の専門家とし第1部提供機械の登録Matching要望機械の登録連絡支援事業者(提供事業者)各地商工会議所の職員+目利き人目利き人被災事業者(要望事業者)無償提供可能な機械の発掘全国各地の商工会議所日本商工会議所被災支援機械情報データベース機械さえあれば・・・機械の保管・仕分け・輸送(輸送費無料)提供機械情報をデータベースに登録し、提供機械情報を公開。東北六県商工会議所連合会(仙台商工会議所)被災地商工会議所による必要としている機械の発掘機械の目利き人によるサポート復興のために何かできることは・・・■遊休機械無償マッチング支援プロジェクトスキーム図仙台商工会議所 東日本大震災 10年の軌跡36

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