東日本大震災10年の軌跡
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第1部②東日本大震災による企業活動への影響に関するアンケート調査調査の目的東日本大震災による企業活動への直接的、間接的影響を定量的に把握し、地域の復興や企業の経営再建に向けた仙台商工会議所の今後の事業活動に生かしていくとともに、地域企業が経営の立て直しを進める上での一助とするべく実施した。調査対象・方法および回収率仙台商工会議所のメールニュース登録会員である仙台市内の企業854社(議員企業140社を含む)に対し、Eメールで協力を依頼し、90社から回答を得た(回収率10.5%)。調査期間2011年4月5日(火)~4月12日(火)主な質問項目・ 企業活動への影響 ・ 今後1年間の売上への影響 ・ 震災前の売上水準に回復する期間・ 業績回復に必要な取り組み ・ 商工会議所に望むこと 震災による企業活動への影響を尋ねたところ、全体では「取引先・顧客の被災など、間接的な影響を受けている」とする回答が56.7%と半数を超え、「自社・自店の事業拠点の被災など、直接的な影響を受けている」とする回答も33.3%あった。市内企業では地震による一次的な直接被害は限定的だったものの、ほとんどの企業が何らかの影響を受けており、金融・雇用・税制措置の拡充はもちろん、風評被害の防止、過度な自粛の払拭など、震災に伴う負の連鎖を最小限に抑え、必要以上に地域経済を収縮させないためのあらゆる手立てを講じていく必要が認識された。企業が業績回復を図っていく上で早急に取り組む必要があることは、「道路・鉄道・空港・港湾など社会インフラの早期復旧」が53.3%、「既往債務の返済猶予や運転・設備資金などの金融支援策の強化」が45.6%と、インフラ復旧と企業に対する資金面の手当てを最優先に取り組むことを求める意見が多い結果となった。以下、「被災地域における復興ビジョンの早期策定」(38.9%)、「雇用安定化に向けた各種助成策等の拡充」(31.1%)の順となっている。その他の意見としては、「被災地圏外への販路拡大」、「自粛モードを脱却した消費・経済活動の健全化」、「復興に向けた公共投資の拡充と雇用拡大」、「原発問題の早期解決による観光産業の活性化」、「東北六県一体となった観光推進策の実行」などの意見があげられている。【結果概要】③発災8カ月後の会員訪問概 要仙台商工会議所会員事業所に対し、職員が直接訪問を行った。目的は、震災後8カ月経過した会員事業所へのフォローアップとして、現況・要望のヒアリング。担当者不在時には、専用ヒアリング用紙を配布し、後日FAXでの返送を依頼した。期 間2011年11月11日(金)~12月13日(火) ※土日・祝日を除く22日間訪問先震災直後の会員事業所ヒアリング(2011年3月25日〜4月18日)によって判明した、以下2種類の事業所(合計 1,435) 震災被害「大・中」会員事業所(宮城野区、若林区) ※職員の巡回により判断 震災被害が「有り」と電話回答した会員事業所(青葉区、太白区) ※職員の電話かけにより判断仙台商工会議所 東日本大震災 10年の軌跡30

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