東日本大震災10年の軌跡
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第1部など、8つの項目により構成される「(仮称)東日本復興特区」の創設を求めている。 その中で求めている特例措置はいずれも「迅速な復興」、「防災はもとより、エネルギーや高齢化など、現代の諸課題にも先進的に対応した復興」を実現するために必要なものであることから、これらの特例措置を一つでも多く実現されることを求める。5.中小企業等グループの施設復旧・整備への 財政支援拡充 中小企業等グループの施設復旧・整備事業においては、これまで第1次補正予算で154億円、第2次補正予算で100億円、第3次補正予算で1,249億円の予算措置が図られているものの、現在の予算規模では宮城一県の案件にも対応できないことから、本事業のさらなる予算措置の拡充と、来年度以降の継続的な予算措置を求める。6.被災地域における早期の産業復興 中小企業の事業再開が大幅に遅れている中、被災事業者が「地元での事業再開」の可否を決定するタイムリミットは過ぎつつあり、二重債務問題の解決をはじめ、再起の意欲のある事業者が早急に事業を再開できる環境整備を早急に行うべきである。(1)二重債務問題への迅速かつ大胆な対応 現在、進められている「債権買取りスキーム」については、迅速な対応を図るとともに、リース債権を含め、以下の対応が必要である。なお、債権買取のための機関が併存する場合、事業者が混乱することなく、円滑かつ迅速な支援を受けられるよう、適切な運用を図られたい。①買取りの状況に応じた十分な債権買取り規模の確保②生業を営む個人・小規模事業者をはじめ、数多くの事業者からの相談に対し、迅速かつきめ細かい対応を図るような体制の整備③金融機関による被災事業者再生の取組みを円滑に進めるため、金融機能強化法を最大限活用した金融機関の経営基盤の強化および返済を要しない資金の金融機関への投入といった特例措置、およびリース事業者の損失負担軽減にかかる検討(2)資金繰り対策の円滑な実施等 事業者が必要な資金調達を迅速に行うことができるよう、東日本大震災復興特別貸付、東日本大震災復興緊急保証等を含め、各種資金繰り支援策の円滑な制度運用を図られたい。また、東日本大震災復興特別貸付、マル経融資震災対応特枠については、金利低減措置の対象者を拡大するとともに、既往借入に加えて新規借入をする場合の借換え一本化制度の導入、全壊等の被災事業者に対する支援措置の拡充が必要である。(3)事業再開に必要な事業用設備に対する  さらなる支援 震災により事業用設備を滅失・毀損した事業者の事業再開を促進するため、仮設店舗・工場等の早期建設や、中小企業等のグループが行う施設の整備、被災事業者への遊休機械の無償譲渡にかかわるマッチング等への支援を早期かつ着実に実施すべきである。(4)税制面の支援 被災事業者の事業再開や事業承継とその後の経営の安定化、さらなる投資促進や事業活動に向けたキャッシュフローの充実を図るため、以下に掲げる税制措置等を講じる必要がある。①非上場株式等にかかる相続税および贈与税の納税猶予制度の適用要件の緩和(雇用継続要件、資産管理会社該当要件等)②間接被害や風評被害を受け、急激な経営環境の悪化に直面している事業者に対する固定資産税等の減免仙台商工会議所 東日本大震災 10年の軌跡100

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