東日本大震災の記録と復興の一年の軌跡
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69仙台復興推進に関する第2次提言Ⅰ.復興予算の有効活用と事業の迅速な執行・拡充について 震災からの復旧・復興には、国や各自治体のスピード感ある対応が求められてきた。本年2月、復興庁並びに、岩手、宮城、福島の被災3県に復興局が設置された事で、被災地域の声をつぶさに吸い上げ、即断の上、迅速に対応できる組織体制の構築と、今後の復興事業の強力かつ加速的な推進が期待される。 こうした中、行政や各種機関による様々な支援制度が設けられてきたものの、内容の周知が不十分であったり、申請作業が煩雑であったりと、支援の必要な地域・業界等で十分な活用が図られていない現状もうかがえる。 被災事業者の復旧・復興に際しては、現状に即して制度が有効活用されるよう、継続的かつ使い勝手が良い制度整備、さらに金融にとどまらない幅広い支援が求められる。 また、建設業などを中心として人件費・資材費の急激な高騰が問題視されている。この影響は、被災地における復旧・復興への大きな妨げとなっているばかりか、全国にも波及しつつある。 以上の事から、次の事項を提言する。1.域内で循環する復興予算の切れ目ない執行2.各種支援制度等の申請作業簡略化や適用期限延長など、迅速で使い勝手のよい制度整備3.各自治体における復興事業を尊重した復興交付金制度の運用徹底4.24年度グループ補助金の予算増額と、企業並びに自治体の復興計画の進捗に即して多年度にわたり 繰越できるなどの制度改善5.復興に関わる特別融資制度の継続延長や税の減免6.公共工事の入札不調解消のための人件費等における設定単価などの状況に応じた見直し7.資材等の便乗値上げの抑制8.失業者の労働力化や、雇用のミスマッチ解消、及び安定的な雇用を創出するための雇用助成制度などの 条件緩和・拡充9.早期に自力で事業再開を果たした企業が、不公平感を抱かないような雇用助成を始めとする支援制度 の遡及適用10.政府による二重ローン対策の成果を高めるための、国の負担割合増による地元負担の軽減11.風評被害を含めた原発事故に関する確実な損害賠償の実施12.復興の妨げとなるガレキ処理の受入れ自治体の拡充E-244ページ仙台復興推進委員会(委員長 : 渡辺静吉副会頭)

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