東日本大震災の記録と復興の一年の軌跡
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Ⅲ.原子力発電事故の早期収束と復興に向けた迅速な対応 1.原子力発電事故の早期収束(1)あらゆる手段を講じた事態の早期収束が復旧・復興の絶対条件(2)屋内退避地域、隣接する周辺地域における行方不明者の捜索、ライフラインの復旧、物資の供給、病院機能維持等の住民への支援(3)直接的被災地への国の全面的な支援と再生に向けた長期的な再生ビジョン(移転含め)の策定・推進(4)事故収束後の失業者救済、地元企業の復活を図るための、休業補償や操業再開に向けた金融措置、商店街への支援等復旧・復興事業に向けた迅速・万全な支援2.原子力災害・損害への支援(1)被害を受けた事業者・住民に対する損害賠償の範囲、内容、手続き、スケジュール等を含めた損害賠償の全体像の早急な明示と周知徹底(2)直接的な損害や風評被害等の間接被害が広範囲に生じていることから、警戒区域等に限定せず損害賠償を(3)農畜産物に係る損害に対する費用の負担・損害の国による補償(4)貿易港におけるコンテナの放射線量測定費用を既対応分を含めた国の全額負担(5)農畜産物・食品の販路確保や販売促進のための商談会等への出品や広報宣伝費用に対する支援(6)食品等の製造業者が原材料の代替調達に係る製造コスト増に対する支援3.原子力発電所事故に関する住民・国内・国外への適切な情報提供(1)放射線監視の拡充・強化(2)住民や事業者の立場に立った区域の設定と十分な説明(3)放射線検査機関の速やかな設置(4)検査機器の増設、技術者の動員、検査費用等に対する国の責任ある対応4.風評被害対策および支援(1)正確でわかりやすい説明を国内外に積極的に情報発信するなど、風評被害の拡大防止と間接被害への支援(2)福島原子力発電所の「東電 福島原子力発電所」への改称および国の「原子力損害賠償紛争審査会」の紛争を想定した現名称の改称(3)風評被害により生じた通関時の行き過ぎた対応への対策(4)非放射能汚染に関する証明書の政府による円滑な発給の確保、官民挙げての検査体制の拡充および検査費用の軽減措置5.電力不足問題への対応(1)政府・電力会社における計画停電の徹底的な見直しと分かりやすい周知(2)産業競争力の低下を招かない電力会社による万全な増電体制の構築(3)電力の安定的供給のため、原発の安全基準の新たなガイドラインの迅速な策定(4)事業者による自家発電設備の導入促進や活用助成(設備購入や燃料費への助成等)等、政府のあらゆる手段を講じた対応(5)震災、円高に加え電力不足に伴う国内産業の空洞化を防ぐための措置(6)全国的な消費電力抑制のため、消費電力の少ない家電製品への買換えや、LED照明への切り換えを奨励するエコポイント復活等促進策の実施(7)一般家庭等を中心とした、エアコンの使用抑制等を促す全国的な節電キャンペーンの展開Ⅳ.地域経済の活力増進に向けた対応 1.自粛ムードの払拭(1)全国的な過度の自粛により経済活動全般が停滞し、被災地の復興の妨げとならないようなムードの払拭と喚起に対する支援(2)国際防災会議や国際的な観光サミット等の誘致への支援(3)被災地が犠牲者の鎮魂や復興に向け、地域が一丸となって開催する伝統の祭りや各種イベント、全国規模のコンベンション誘致などへの支援(4)被災地の経済復興支援のため、被災地における産品・製品の購入促進や観光の奨励等の支援以上61
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