東日本大震災の記録と復興の一年の軌跡
64/76

1.復旧・復興事業の着実な実施のための継続的な予算額の確保 宮城県では、県内における今後10年間に要する復旧・復興事業費を市町村分も含めて現時点で13兆円と試算している。 被災地域の自治体が円滑な復旧・復興事業を行うことを通じて地域経済の再生を着実に進められるよう次年度以降も継続的な十分な予算措置を講じることを求める。2.水産業を取り巻く漁港機能の再建に関する支援拡充 本県経済の特色をなす農林水産業や水産加工業が立ち直らなければ、被災地の自立的再生は望めないことに鑑み、水産流通加工機能をはじめ、漁船の整備や食料の仕込みなどを含めた漁港機能全体の再建に向けた支援拡充を求める。 ①地盤沈下等の被害を受けた塩釜、石巻、気仙沼等特定第3種漁港の岸壁、魚市場、加工団地、周辺道路等の早期復旧 ②津波により被害を受けた漁船確保に向けた支援 ③冷蔵冷凍施設、フォークリフト・コンベヤー等の水揚げ機材、情報機器類の早期整備 ④漁船の整備や水・食料の仕込みなどを行う関連業種の早急な復旧 ⑤港背後地にある水産加工団地の共同化等による早急な復旧・整備 ⑥沿岸部における避難ビル機能を備えた工場整備に対する補助制度の創設3.インフラ整備の促進 地域の復旧・復興を実現するためにも、道路、鉄道、港湾、空港、堤防等の社会・産業基盤を早急に復旧・整備する。 特に、東北一円の物流・人的交流の要となる「仙台空港」と「仙台塩釜港」については、早期に従前の機能回復を図る。 高速道路については、災害時の代替機能をも含む物流機能の確保・救急医療の観点から、三陸自動車道や太平洋から日本海側へ横断するルートの未開通部分を含め、早期に整備する。また、道路整備は長期間にわたるものとなるため、将来にわたって十分な予算確保を図る。4.地域ニーズを反映した復興特区の創設 宮城県では、「復興まちづくり推進」、「民間投資促進」、「水産業復興」、「クリーンエネルギー活用促進」など、8つの項目により構成される「(仮称)東日本復興特区」の創設を求めている。 その中で求めている特例措置はいずれも「迅速な復興」、「防災はもとより、エネルギーや高齢化など、現代の諸課題にも先進的に対応した復興」を実現するために必要なものであることから、これらの特例措置を一つでも多く実現されることを求める。5.中小企業等グループの施設復旧・整備への財政支援拡充 中小企業等グループの施設復旧・整備事業においては、これまで第1次補正予算で154億円、第2次補正予算で100億円、第3次補正予算で1,249億円の予算措置が図られているものの、現在の予算規模では宮城一県の案件にも対応できないことから、本事業のさらなる予算措置の拡充と、来年度以降の継続的な予算措置を求める。震災からの復旧・復興に向けた重点要望平成23年11月28日 3月11日に発生した東日本大震災は、東北から関東にわたる広い範囲に甚大な被害をもたらした。第三次補正予算が臨時国会で成立し、被災者の生活環境も徐々に改善されつつあるものの、復興はまだ途についたばかりであり、産業の復興、特に地域を支える中小企業の復旧・復興は大幅に遅れている。とりわけ宮城県沿岸部では、 本県経済の特色をなす農林水産業や水産加工業の早期再生が喫緊の課題となっている。以上のような観点に立ち、我々は、震災からの早期の復旧・復興について、下記のとおり強く要望する。記宮城県商工会議所連合会会長 鎌 田 宏仙台商工会議所の活動に関するデータ第4章62C-839ページ

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer9以上が必要です